成育歯科医療研究会

本研究会は、咬合誘導研究会として1996年に発足し、
2004年から現在の名称になりました。

HOME > 本研究会について > 会の歴史

会の歴史

 成育歯科医療研究会は、平成8年に咬合誘導研究会として発足しました。以前より、包括的アプローチかつ高次レベルを目指す、発達期の歯科臨床カンファレンスとして、咬合誘導懇話会が継続しておりましたが、中心メンバーが全国より発起人を集め、平成8年3月に準備会を九州大学で開催し、改めて研究会として発足しました。同年10月には、第1回学術集会も九州大学で開催されています。
 発足当時より、会名ならびに本会設立の趣旨については久しく論議されており、平成8年9月の第1回理事会においても、以下の合意がありました。

 咬合誘導は、早期矯正治療とは基本的に異なる概念であり、矯正学における不正咬合の分類だけでは当てはまらない固有の障害(歯数の異常・埋伏歯・先天異常・外傷歯・習癖・機能異常・心身障害等)をもつ小児患者の咬合の育成を取り扱うものである。
 また形態・機能・知能・習慣・社会的条件など多角的な症例解析により、症例固有の治療方針と目標の設定と早期からのアプローチが必要となる。「小児の咬合の育成に必要な管理と治療の総称」であり、従って小児歯科や矯正歯科など一つの領域を越え、多分野の提携によるアプローチ(Interdisciplinary)が求められる、本会に参加し様々な分野からの専門的見地を学ぶ事に本会の意義がある。
 咬合というより口腔しかも口腔内外の機能と形態の調和を対象とするものであるが、現在これに相応しい学術用語はない。我々は長く「咬合誘導」を用いてきた先達に敬意を表しこれを用いる事とする。英語表記であれば、“Occlusal (denture) guidance”より“Oral care” に近く、例えば英語表記の会名なら“Inter- disciplinary approach of (total) oral care in developing child”が相応しい。将来的には「咬合誘導」に変わる言葉が創設されても良い。(平成8年咬合誘導研究会議事録より)

 その後も、研究会名称と趣旨については毎年論議が続きましたが、結局、平成15年度総会において、平成16年度より会名を「成育歯科医療研究会」に変更することを決議しました。その経緯を説明します。
 20世紀末には小児保健に対する新しい概念が広がり始めました。医療行政の中では、社会の少子化進行への対策として、生命のリプロダクションサイクルを意識した総合的かつ継続的医療体系が継続して検討され、これを『成育医療』と称し、各地で医療施設の統廃合などの展開をしています。『成育医療』では、胎児から小児、思春期を経て出産の可能性のある成人期までの、ライフサイクルに沿った心身の健康が目的となっています。
 こうした変化を鑑みるとき、咬合誘導研究会におけるこれまでの発表ならびに討論を通じて、旧来からの「咬合誘導」の概念だけでは、口腔の持つ保健的意義を社会に対して十分にアピールすることは難しいことが、現実問題として把握されてきました。そこで、「口の働きを育てることを通じて、子どものこころと身体を育てる」という概念を、われわれの研究会の名称に反映するべく、研究会の名称変更についての合意を得るに至りました。
 会名に取り入れたい用語として、久しく合意が得られていたのが「育成」でした。しかし、小児医療における成育医療の概念が一般化するにつれ、支持が増えてきたのが「成育」です。一般的な「家畜・作物の成育(植物では生育)/育成」「人材・青少年の育成」といった用例に見られるように、この二つの言葉は本質的にはほぼ同意の「育つこと・育てること」を意味する逆配列漢字熟語ですが、「成育」なら自動的意味合いが強く、子どもが主体者で関わる専門的活動は子どもの成育を支援する活動となります。
 会名変更にあたり最後の検討段階で検討されたのは、「口腔」を介した健康が目的なのか、「咬合」を介した健康なのかでしたが、この議論の中で浮かび上がったのが、国民が判り易い言葉を選択するという志向で、結局、第3案の「歯科医療」が選択されました。
 そして最終的には、健全な口腔機能の育成を通じて、広く次世代までも継続するセルフケアを支援する医療体系の開発について研究するという視点から、咬合誘導研究会の名称を「成育歯科医療研究会(旧:咬合誘導研究会)」(英語名称案:The Society of Dentistry for Child Health and Development)として改称することを総会に提案することになりました。

本研究会について

ページのトップへ戻る